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原宿の浮世絵専門美術館で「浮世絵動物園」展 ペットの猫や擬人化したスズメなど

遊郭の人たちをスズメに置き換えて描いた作品など当時の世情も垣間見える

遊郭の人たちをスズメに置き換えて描いた作品など当時の世情も垣間見える

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 原宿の浮世絵専門美術館「太田記念美術館」(渋谷区神宮前1、TEL 03-3403-0880)で現在、企画展「浮世絵動物園」が開催されている。

コウモリや金魚など着物の柄として描かれた動物にも着目

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 2010年、さまざまな動物を描いた浮世絵を紹介した「浮世絵動物園」展が好評だったことから、展示数を増やし期間を延長して開催する同展。前後期合わせて前回の約2倍となる172点(前後期各86点)を展示する。

 場内は4つのテーマで構成。「動物百変化」では、天保の改革以降、遊女を描くことが厳しく取り締まられている中、遊郭の人たちをスズメに置き換えて描いた「里すゞめねぐらの仮宿」(歌川国芳)、ユーモラスなカエルで長州征伐を表現した「風流蛙大合戦之図」(河鍋暁斎)、文部省博物局による最初の展覧会の展示作品解説と考えられる1図で博物画家・服部雪斎が描いた「ウチハフグ」、「曽我物語」に出てくる石「虎子石」を独自に解釈し、石に虎の手足としっぽが付いた生物として描いた「東海道五十三次内 大磯をだはらへ四リ」(歌川芳員)、さまざまな身分の老若男女の猫を42コマで描いた子ども向けの「しんはん猫つくし」(二代歌川国明)などを紹介する。

 「暮らしのなかの動物-愛されアニマル・働きアニマル-」コーナーでは、初夏に開かれた馬市を題材にした「東海道五拾三次之内 池鯉鮒(ちりゅうふ)首夏馬市」(歌川広重)や、塀を隔てて仰々しい行列と牛の世話などをする人たちが対比的に描かれている「東海道 高縄牛ご屋」(河鍋暁斎)など、前回は展示しなかった馬や牛を描いた作品も出展する。

 「祈りと動物-鶴・亀・干支(えと)・エトセトラ-」では、疱瘡(天然痘)除けの「疱瘡絵」として赤色で張り子のミミヅクと春駒を描いた「木菟(ミミヅク)に春駒」(歌川国芳)をはじめ、縁起の良い動物を通して人々の祈りや当時の世相を表現した作品を展示。「江戸流アニマルファッション」では、美人画に描かれている七代目市川團十郎が「流行させた」というコウモリ柄、織姫の異名「細蟹(ささがに)姫」を連想させる笹とカニ柄などの着物にスポットを当てる。

 同館主任学芸員の赤木美智さんは「動物を仲介することで、当時の市民たちのリアルな心情や生活が垣間見える。動物に焦点を絞ることで、従来とは違った浮世絵の見方ができるのでは」と話す。

 期間中は担当学芸員によるスライドトークも予定する。開館時間は10時30分~17時30分(入館は30分前まで)。月曜休館。入館料は、一般=700円、大高生=500円、中学生以下無料ほか。5月28日まで(4月27日~5月1日は展示替えのため休館)。

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