渋谷区とサッポロホールディングス(渋谷区恵比寿4)は10月19日、地域社会的課題を共同で解決していく「シブヤ・ソーシャル・アクション・パートナー協定(通称S/SAP、エス・サップ)」を締結した。
区が4月から進めている同協定は、民間企業と協働し地域社会的課題の解決に取り組んでいくCSRプログラム。区が提示した地域課題に対し、企業が技術や人材などを役立てた解決策の提案を行い、区は企業のCSR活動の「見える化」を図る。S/SAP締結企業同士が協働する可能性もあるという。
区はこれまで、LINE(渋谷区渋谷2)、セコム(神宮前1)、京王電鉄(多摩市)、ビームス(新宿区)の4社と締結してきた。サッポログループは1889(明治22)年、恵比寿にビールの醸造所を竣工し操業していた歴史を持ち、1994年に醸造所跡地に「恵比寿ガーデンプレイス」を開業している。
連携を図るのは、「次世代教育」「恵比寿地区の活性化」「災害支援」「観光・文化支援」「環境保全」など8つの分野。サッポロホールディングスではすでに、次世代教育=オレンジリボン活動など家庭環境改善に関わる啓発運動や、適正飲酒・未成年飲酒防止のセミナー、恵比寿麦酒(ビール)祭などを通じた「恵比寿地区の活性化」、救援物資の提供など「災害に関する支援」、各事業所社員たちによる地域の清掃活動など「環境保全」、LGBT研究セミナーや社内制度の検討など「多様性社会実現に向けた啓発活動」などの活動を行っている。これらの活動は、今回の協定以降も続けていく。
今後は、区が今秋から始める、食事の提供をはじめ勉強や遊びなどを含めたコミュニティーの場となる「子どもテーブル事業」への飲料水・食品の提供、「住みたい街ランキング2016」(リクルート住まいカンパニー発表)1位に選ばれたブランドイメージの「更なる」向上と区内ほかのエリアへ広げるための研究、恵比寿エリアでのインバウンド向けの情報発信などに取り組んで行く予定で、具体的な事業は来年度から始める方針という。
サッポロホールディングスの社長兼グループCEOの上條努さんは「いろいろな課題を共に考えることで、手伝いをしやすくなる環境が増える。恵比寿は『住みやすい街ナンバーワン』を目指していかなくてはいけない。多くの企業とも取り組んでいきたい」と意欲を見せる。
長谷部健渋谷区長は「行政だけでは文化は作れない。企業や区民、渋谷が好きで集まっている人たちなど、たくさんいるステークホルダーと協働して成熟した国際都市に向けて進んでいきたい」と話す。