表参道とケヤキ並木の歴史100年を描いたVR(バーチャルリアリティー)動画「タイムトリップミュージアム『明治神宮表参道ケヤキ並木の100年』」が8月31日、公開された。
持続可能な社会づくりを目指す「いのちの森」(NPO法人「響」運営)が、明治神宮の森や表参道をはじめとする参道、明治神宮外苑一帯に「緑の回廊(グリーンコリドー)」を作ることを目指すプロジェクト「グリーンコリドープロジェクト」の一環。
学生や若者が表参道の街やケヤキ並木の歴史を知り、「次の100年にどう受け継いでいくか」を考えるきっかけとなることを目的とした学習コンテンツとして制作。動画制作はKDDIが担当した。教育現場のICT化が進んでいることから「(VRを活用することで)教育現場でより深い学習効果が得られるのでは」と考えたという。映像では、明治神宮や商店街振興組合原宿表参道欅(けやき)会から借りた昔の写真に加え、描き下ろしのイラストで360度の景色を再現。各時代の背景や出来事などをナレーションで紹介する。
動画は3スポットの視点で作った3バージョンを用意。表参道交差点付近は、1920(大正9)年の明治神宮創建に伴う表参道とケヤキ並木の誕生から、1923(大正12)年に発生した関東大震災、その復興に伴い建設された鉄筋コンクリート造りの「同潤会アパート」、1945(昭和20)年の山の手大空襲による被害などをまとめた。
明治神宮交差点付近は、原宿セントラルアパートや1978(昭和53)年のラフォーレ原宿開業など街の発展に伴うケヤキ並木の成長や保護とともに、1960年代に台頭した「原宿族」、歩行者天国とともに誕生した「アンノン族」「竹の子族」などを紹介。1990年~現在の様子を描いた表参道ヒルズ付近の動画では、1991年に始まったクリスマスイルミネーション、海外ブランドの店舗が立ち並ぶ街並み、成長したケヤキの姿などを描いた。
同日に開いたプロジェクト発表会にはお笑い芸人の土田晃之さんやフリーアナウンサーの高島彩さんらが参加し、VR映像を体験。土田さんは「集中して見られるし情報も入ってくる。楽しみながら学べるのが素晴らしい」と絶賛。高島さんは「(学校教育に取り入れれば)能動的に参加することができる。(自分の子どもたちにも)体験させてみたい」とも。
渋谷教育学園渋谷中学高等学校の生徒は、表参道の街なかでVRを体験する課外授業を実施。体験した学生は「生まれる前のこともリアルに感じることができた」「学校も近いし遊びにも来るのに知らないことばかり。まずは知って友達に話すなどして未来につなげていけたら」と話した。
9月1日~11月30日には、渋谷区内の中学校・高校を中心にスマートフォンとヘッドマウントディスプレーを貸し出し、VR映像を体験できるようにする予定。
動画は「いのちの森」ホームページやauの公式ユーチューブ、ユーチューブアプリで視聴できる。利用無料(パケット通信料は別途)。