渋谷パルコ・パート1(渋谷区宇田川町)3階の「パルコミュージアム」(TEL 03-3477-5873)で現在、一時休業前最後の展覧会「SHIBUYA, Last Dance_」が開催されている。
アートやカルチャーの発信拠点となる同ミュージアムは、1981(昭和56)年の渋谷パルコ・パート3開業とともにオープンした「スペースパート3」が前身。その後、「パルコギャラリー」(1986年、パート1地下1階)、「パルコミュージアム オブ アート&ビヨンド」(2002年、パート3・7階)、「パルコファクトリー」(2007年、パート1・6階)と、移転・名称変更へて、2011年に現在の「パルコミュージアム」がオープンした。
パルコミュージアムではこれまでに82本の展覧会を開き、延べ78万人以上が来場した。中でも、前売りの段階でチケットが完売したバラエティー番組「水曜どうでしょう」の展覧会「水曜どうでしょう小祭」(2014年、来場者数は18日間で約3万6000人)、写真に刺しゅうを施す作品などで知られる清川あさみさん初の男性シリーズとなった「男糸-danshi-展」(2013年、同45日間で約3万1000人)、「仮面ライダー」生誕45周年を記念したエキシビションショップ(2016年、同19日間で約3万人)が好評だったという。
最後を飾るのはパルコに「ゆかりのある」アーティスト12組。1990年代後半~2000年代前半を中心にパルコグランバザールの広告を手掛けた佐藤可士和さんは、初めてとなる書の作品を、森山大道さんは同展のメインビジュアルにも使われている渋谷の街の写真を、それぞれ出品。「渋谷系アーティスト」としても知られる小沢健二さんは渋谷パルコでの思い出も織り交ぜた文章「手相 占 易断」を寄せている。日比野克彦さんは、1982(昭和57)年に「スペースパート3」で開かれた「第3回 日本グラフィック展」に出品し大賞に選ばれた作品を34年ぶりに展示。寺山修司が西武劇場(現・パルコ劇場)のために書き下ろしたる舞台「中国の不思議な役人」の直筆原稿なども並ぶ。
ほかにも、パルコのフリーペーパー「GOMES」(1988~1998年)に連載を持っていた漫画家・しりあがり寿さん、パルコミュージアムを中心に渋谷パルコ全体で結成25周年記念展を開いた英デザイン集団「TOMATO」のサイモン・テイラーさんらも参加。井上嗣也さんは1980年代を中心にパルコの広告を制作しているほか、渋谷パルコ休業に向け現在展開している広告キャンペーン「Last Dance」も手掛け、同展のアートディレクションも担当している。
パルコミュージアムの企画を担当してきたメディアコミュニケーション部の江尻裕子さんは「アートやファッション、マスカルチャー、サブカルチャーなど偏ることなく幅広い展覧会を心掛けて来た」と振り返り、同店は開業当時からギャラリーを併設していることから「どうなるかは未定だが、(新しくなる渋谷パルコにも)文化発信は大事に引き継いでいきたい」と話す。
過去に渋谷パルコの店長を務めていた経験もある牧山浩三社長は「(渋谷パルコへの)思い入れは人一倍ある」と言い、同展を「珠玉の企画。今しか見られない集合体の力強い展覧会になった」と自信を見せる。「アーカイブというより次の100年に向けたリスタートの原点となる。次の渋谷パルコをどうしていくかを考えながら盛り上げていきたい」とも。
開催時間は10時~21時(入場は閉場の30分前まで)。入場無料。8月7日まで