改正風営法施行を翌日に控えた6月22日、渋谷・道玄坂のクラブ「SOUND MUSEUM VISION」(渋谷区道玄坂2)でナイトカルチャーのマナー向上・啓発するキャンペーン「PLAYCOOL」の記者発表会が開かれた。
ヒップホップ・アーティストZeebraさんが会長を務める任意団体「クラブとクラブカルチャーを守る会(CCCC=シーフォー)」が展開する同キャンペーン。2013年に発足した同団体は、東京を中心に活動するDJやアーティストが中心となり、「より良いくクラブとクラブカルチャーの創造」に向け、清掃活動や啓蒙(けいもう)活動などを行っている。
「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)」の中で、クラブはダンスホールなどを設けて客に飲食とダンスをさせる(3号営業)業態に位置付けられ、都道府県の公安委員会の許可を得ないと営業できなかった。加えて、許可が下りたとしても24時以降の営業は禁止されていた。2000年代に取り締まりが強化され、多くのクラブが摘発されるニュースが相次いだことから、法改正を求める動きが出ていた。
23日に施行される改正風営法でクラブは、新設された「特定遊興飲食店営業」に位置付けられる。上映前の映画館と同等の照度10ルクス以上であれば、都道具県公安委員会に許可を得て深夜0時~6時もアルコールを提供しながら営業することができるようになる。
CCCCでは、施行と同時刻の23日0時、渋谷駅前スクランブル交差点のビジョン4面でPLAYCOOLのムービーを上映するほか、同日6時からはクラブが集積する円山町エリアの清掃活動を行う。8月10日には理念の啓発を目的とした回遊型フェス(クラブサーキット)を渋谷で開くほか、翌11日ダンスミュージックスクールも企画している。
記者発表ではZeebraさんが渋谷区観光大使ナイトアンバサダーを務めていることから、長谷部健渋谷区長、渋谷区観光協会の金山淳吾理事長や、同協会名誉理事長の俳優・別所哲也さん、渋谷区観光大使ナイトアンバサダーのトランジットジェネラルオフィス(港区南青山3)の中村貞裕社長も参加し、ナイトカルチャーに関するトークイベントを開いた。
長谷部区長は「夜に格好(かっこ)いい大人が活躍している街という空気を渋谷から発信できれば。ファッションのように、渋谷の次の価値として世界に広がっていくのでは」と期待を込め、カフェなどの飲食店を手掛ける中村社長は「クラブの前後に食事しに行くなど(飲食店にも)波及効果があるのでは」と話した。
今回の法改正を「求めている100%ではないが第一歩。必要に応じて法律も変わるということが証明できたのでは」と話すZeebraさん。「権利を主張するには義務が伴う。ダンスに関する上での義務はマナーを守ること。格好いい遊び方を提唱することが一番大事なのでは。ゴミ拾いをしたりパーティーを開いたりして、建設的に楽しいクラブシーンを作れるように、ナイトシーンがさらに盛り上がることを望んで活動していきたい」と言い、「90年代初頭まではアジアの中では日本のクラブシーンが一番盛り上がっていた。今は中国や韓国のクラブが盛り上がっている。法改正を機にさらに盛り上がって、日本がアジアの中のリーディング・クラブシーンになれたら」と意欲を見せた。