渋谷のまちの歩き方を11のゾーン別に指南する観光ガイドブック「渋谷まち歩きレシピ」(クムラン)が2月1日、発売された。企画・制作は「しぶやコンシェルジュの会」。
2010年に発足した同会は、主婦や大学生からまちづくりの専門家、大学教諭、デザイナーなど、渋谷区在住・在勤のメンバーらを中心に構成。「渋谷の観光まちづくり」を目指すため、渋谷に精通するメンバー自らが観光ガイド役となり、同会主催のまち歩きツアーを月1回ペースで実施している。
過去開催の主な企画では、一味違う昭和大衆酒場などを案内する「隠れ家ご案内ナイトツアー」や再開発が進む工事現場を見学する「地下見学 新旧渋谷川の姿を検証」、モダニズム建築の変遷をたどる「シブヤ建築ツアー」など、今まで約60回のツアーを行ってきた。
同会代表の玉井美歌男さんは「所要時間2時間を目安に歴史や建築、商業施設など、いろいろな要素を混在させ、初心者でも渋谷をよく知る人でも楽しめるコース設計を心掛けている」という。
5年間のツアー経験の中で、参加者からよく言われるのが「渋谷のまちは分かりにくい歩きにくい」という声。こうした背景が後押しし、これまでにツアーを通じて足で稼いできた「まちの情報」を集約し、分かりやすく紹介する「観光ガイドブック」の構想に至ったという。ほとんどプロの手を借りずに、同会メンバーで執筆から編集、デザインまでの工程を手掛けたため、「制作に約2年間の歳月を費やした」と苦労を振り返る。
同書の特徴は、渋谷駅を発着地点に所要時間2時間で巡ることができる「まち歩き」を範囲とし、「宮益坂 ヒカリエ」「キャットストリート 明治通り」「原宿 表参道」「公園通り・神宮通り」「センター街 井の頭通り」「文化村通り・松濤」「道玄坂・百軒店」かいわいなど、計11のゾーンに区分して具体的なルートを紹介。渋谷のまちを細かくゾーン分けすることにより、迷路のように分かりづらいまちの性格を鮮明にし、その地域の歴史から特性、見どころを写真とテキストで詳しく解説している。さらに「渋谷トピックス」として再開発が進む渋谷の「未来の姿」なども紹介し、「過去」「現在」「未来」の視点から重層的にまちの魅力を捉えている。
「用事を済ませたらすぐに帰るなど、渋谷を点でしか利用しない人が多い。この本を持って歩いてもらえれば、その目的地周辺の情報も得られ、点から面へ行動範囲が広がるのでは」と期待を寄せる。
価格は1,200円(税別)。渋谷検定問題付き。2月11日、出版記念で「日々変わる渋谷駅・ヒカリエ・大山街道筋を辿るツアー」を開催。参加費1,000円。参加希望者は10日までにホームページから申し込む。