渋谷区は11月5日、同性カップルに男女の婚姻関係に相当する関係を認める「パートナーシップ証明書」の交付を始めた。
証明書の発行は、「同性パートナーシップ条約(正式名称=渋谷区男女平等等及び多様性を尊重する社会を推進する条例)」に基づくもの。4月に「LGBT」(L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシュアル、T=トランスジェンダー)を支援する条例として日本の自治体で初めて施行された。区では対象となる2人が、区在住で住民登録をしていること、20歳以上であること、近親者でないことなどを要件として挙げ、10月28日から申請を受け付けていた。
この日、開庁とともに証明書を受け取りに来たのは、増原裕子さん(37)と東小雪さん(30)のカップル。増原さんと東さんは10月28日にも朝一で申請に訪れていた。証明書は、婚姻届などを受理する戸籍課の窓口で受け取り「末永くお幸せに」という言葉を掛けられたという。証明書は「生活の土台となるものなので家に飾りたい」(増原さん)。
駆け付けた友人が「私たちより先に泣いてくれた」(東さん)ことに驚きつつ、証明書を手に「家族として認められて感激。記念すべき大切な日になった。友人や力を注いでくれた人たちにあらためて感謝したい」(増原さん)と満面の笑みを浮かべた。会議中だったという長谷部健渋谷区長も駆け付け「おめでとうの一言に尽きる」と祝福した。
東さんは「まずは(LGBT)を知ってもらい、日本全体にある問題だと感じてほしい」と訴え、性的少数者(LGBT)の人たちには「(証明書の発行に必要な)公正証書を作った後に良かったと思ったし、証明書を手にして実感することもあったので作ってみてほしい」と呼び掛る。増原さんは「区から家族として認められたのは大きいが、相続の問題などもあるので国民の動きとして全国に広がれば」と期待を込める。
今後は、病院や不動産などで「証明書がちゃんと使えるようになってほしい。証明書があってもなくても生きやすい街になれば」(増原さん)、「性に悩む若者たちなどへの教育にも力を入れてほしい」(東さん)とも。
区によると、これまでに同証明書の申請をしたのは増原さん・東さんのカップルのみだという。