東急東横線旧渋谷駅ホーム・線路跡地などに35階建ての高層ビルを建設する「渋谷駅南街区プロジェクト」(渋谷区渋谷3)の作業所に10月7日、女性技能労働者専用休憩スペース「南街ステーション」が開所した。
人材不足を背景に、官民が一体となり女性の活躍を推進している建設業界。建設現場内では、簡易トイレや折りたたみ式のテーブル・椅子など「簡素な」休憩所設備が一般的だというが、同所は女性社員や女性技能労働者に配慮し、女性が働きやすい職場環境を整備。同街区のみならず、渋谷駅周辺で進む各再開発事業の現場で働く女性たちが幅広く利用できるようにする。
3階建てのユニットハウスで、延べ床面積は241平方メートル。ファサードや室内には、南街区で整備される渋谷川をイメージした水玉や、建設業の女性技術者・技能者たち(愛称・けんせつ小町)から着想した花弁のようなパターンなど4柄をあしらっている。室内は、木目の家具やカラフルなクッションなどを取り入れた。
2階・3階が女性専用休憩スペースで、女性が管理するナンバーキーで入室できる。2階は靴を脱いで利用する座敷のような空間(40席)で、3階は土足のまま利用できるテーブル席(32席)。2階にはシャワールーム4室、3階にはパウダースペースや喫煙所を完備。給湯コーナー、トイレ、ロッカー(2フロア計72台)、姿見は両階に備える。1階にオープンした男女共に利用可能な売店「南街ショップ」(7時~16時)には、軍手やタオル、ヘアゴムなど女性向け商品のコーナーも用意。
南街ステーションに隣接して、会議室などを併設した男女共用の休憩所(363平方メートル)も設置した。
同日、開所式を開きテープカットを行った。参加した東急建設の飯塚恒生社長は「建設現場の作業員は男性が中心となって担ってきたが、これからは女性が活躍できる産業でなければならない。アフター5に食事や買い物を楽しむことができる環境を整え、女性に活躍していただくことで現場全体の士気向上や品質・安全にも貢献できるのでは」と話し、「建設業における慢性的な労働力不足は業界としても喫緊の課題。渋谷から、若者に物づくりの楽しさなどをアピールできれば」と期待を込める。常務執行役員渋谷開発支店長・住田洋さんは「新しい時代の建設現場」とも。
稼働は渋谷駅南街区プロジェクトが竣工する2018年中まで。