渋谷駅前交差点(通称スクランブル交差点)を100分の1スケールで再現したコマ撮りアニメーション「1/100 SHIBUYA Crossing」が現在、ユーチューブで公開されている。
「テラダモケイ」の映像レーベル「テラダモケイピクチャーズ」の第1弾作品となる同映像。テラダモケイは、福永紙工(立川市)と建築家でデザイナーの寺田尚樹さんが2011年に立ち上げたブランド。プレカットされたパーツを切り離すだけで簡単に組み立てることができる100分の1スケールの建築模型用添景セットなどを展開している。
ブランド立ち上げ当初から、同ブランドの人型キャラクター「原器くん」の映画を作りたいという思いがあったことから、ブランド設立4周年を期に同レーベルを発足。動きに注目が集まるよう「人が歩いているだけの映像にしたかった」ことや、渋谷の観光名所として知られているため「国内外問わず興味をもってもらえる」ことなどから、同交差点をテーマにした。
映像本編の長さは18秒で、1秒10カット計180カットで構成。原器くん約1000体が一斉に横断歩道を渡る様子を収めた。撮影に使った舞台は1メートル角。現地での取材や航空写真などを基に、交差点も実物の100分の1スケールで作ったという。交差点や原器くん約3000体の準備に約1カ月。撮影は模型を動かすスタッフとして1日延べ7~9人が参加し、1日約12時間を8日間かけて行った。制作総指揮は寺田さんが務め、監督にはグラフィックデザイナー岡崎智弘さんを起用した。
原器くん以外にも、100分の1スケールの建築模型用添景セットの東京編などの原付バイクや自動車、駅伝編の白バイ、田植え編などの軽トラックも使い、同映像のために作ったバスやタクシーなど未発売の模型も用意した。原器くんは、1.7ミリの通常のタイプだけでなく、太った体形や女性、子ども、老人などさまざまなスタイルを使い、歩く速度を変え走っている人も登場させた。
それにより単純に前進させるだけでなく、歩く速度に合わせて歩調を調整して置き換える作業などが発生し「より一層の時間と労力が必要になった」(同ブランド広報の足立睦さん)。撮影時スタッフはそれぞれ両手にピンセットを持って作業したが、1カット分のパーツを動かすのに「20~30分かかった」と振り返る。撮影現場の様子はエンドロールで見ることができる。映像には「横断歩道を渡って、定位置に戻るハチ公がいるので探してみてほしい」とも。
今後については「世界のさまざまな場所を100分の1で再現してシリーズ化したり、映像とリンクした商品を発売したりできたら」と話す。