渋谷・みやしたこうえん近くの都営住宅「宮下町アパート」跡地(渋谷区渋谷1)を活用した「渋谷宮下町計画」が3月30日、着工する。
同所は、老朽化などで移転・更新などが決まった都有施設を有効活用し、民間のノウハウや資金力を導入しながら周辺開発の誘発を促す東京都の「都市再生ステップアップ・プロジェクト」に指定されている区域。渋谷周辺の都有地では、同所と三竹公園に隣接する東京都児童会館跡地、青山病院跡地の3カ所が対象となっている。
ファッションをはじめする「クリエーティブ産業の中心」である渋谷・原宿・青山一帯に文化やファッション産業などの拠点を形成し同エリアを結ぶ人の流れを創出するとともに、渋谷駅周辺の再開発が進むこの時期に行うことで地区全体の魅力向上を目指している。
都は2012年に「宮下町アパート跡地事業」として参加を希望する民間企業グループを公募し、コンペティションを実施。その結果、東急電鉄を中心とする企業グループが事業予定者に決まり、2013年5月に同事業を手掛ける特別目的会社「渋谷宮下町リアルティ」(南平台町)が設立された。同社は代表企業で51%を出資する東急電鉄のほか、大成建設、サッポロ不動産開発、東急建設の3社が出資している。
面積約5020平方メートルの敷地内に、地下2階~地上16階(高さ約71メートル)、延べ床面積3万5000平方メートルのビルを建築。低層部には商業施設を開業するほか、クリエーターの創造拠点の中心となるシェアオフィスを計画。高層部は事務所と80戸の共同住宅を配置し、戸数は未定だが住宅の一部をクリエーター向けに貸し出す予定。キャットストリート沿いに位置する前面には広場を配置するほか、貫通通路で建物を旧東京都児童会館側へ通り抜けできるようにする。屋上・壁面緑化をすることで環境にも配慮する。
同所は70年の定期借地権が設定されており、事業終了後は更地返還する。「定期借地権に関する業務については現在最終調整中」(東急電鉄担当者)であることから詳細は明らかにされていないが、2012年に都が発表した資料では、事業期間は複合施設建設・除去工事期間などを加えて70年間、事業予定者(=現・渋谷宮下町リアルティ)が提案した借地料は月額2,276万6,550円となっている。
2017年4月末竣工予定。