閉館が2カ月後に迫った東急プラザ渋谷(渋谷区道玄坂1)6階に1月22日、「タイムスリップギャラリー」がオープンした。
「サーファーディスコ」を再現したコーナーで踊るデヴィ・スカルノさん
渋谷駅周辺の再開発に伴い、3月22日で49年の歴史に幕を下ろすことが決まっている同館。同ギャラリーは閉館に向けた企画の一つとしてオープン。場内では開業当時の1960年代から現在、同館跡に建設される新施設が開業する2018年度など未来までの渋谷の街を写真やジオラマなどで年代順に紹介する。
展示する写真は、竣工間近と思われる1965(昭和40)年の「渋谷東急ビル」と西口バスターミナル、1968(昭和43)年の渋谷駅(都電)や、渋谷ヒカリエ(渋谷2)の場所で営業していた東急文化会館、1978(昭和53)年の渋谷駅前交差点、1998年のSHIBUYA109前の交差点など33点。写真と共に年表も掲出している。東急不動産や東急電鉄のほか、白根記念渋谷区郷土博物館・文学館、コレクターから写真提供を受けた。
中央には、渋谷駅近くで営業していたディスコクラブ「キャンディキャンディ」など、1980年代に渋谷を中心に流行した「サーファーディスコ」を再現。「キャンディキャンディ」でデビューしたDJ OSSHYさんが監修した同コーナーには、サーフボードなどを並べ、当時「流行していた」ディスコナンバーをBGMで流している。
ジオラマは、1964(昭和39)年ごろの渋谷駅東口付近を再現したもので、富沢瑞夫さん・昭子さん夫妻が1997年~2002にかけて制作。場内奥には、1970(昭和45)年ごろの新玉川線(現・田園都市線)の行き先方向幕、東急デパート78年を記念したハチ公像の置物、昭和20~40年代に使われていた都電の車掌かばんなど、展示の一部や文章を監修した関田克孝さんのコレクションも並ぶ。
オープニングセレモニーには、現在神山町に住んでいるデヴィ・スカルノさんが、サーファーディスコをイメージした衣装で出席。当時のサーファーディスコについて「クラシックとは違い、音楽に合わせて自分で踊るという自由と開放感は戦前には無かったのでは」と振り返った。当時は、19歳まで住んでいた霞町(現・麻布)から渋谷まで、都電で通っていたという。「近代的な高層ビルが建って景観は変わってしまうかもしれないが、大人も楽しめる美しくシックな街になってほしい」と期待を寄せた。
同ギャラリーの企画責任者である東急不動産SCマネジメント・マネジャー仁田俊秀さんは「当館に来店される方々は、渋谷の街に愛着がある方や、親子3代など長くご愛顧いただいている方が多い」ことから、「街の歴史を体験してほしい」と考えたと振り返り、「さまざまなもので皆さんが見てきた風景を再現した」と話す。
昨年4月から総支配人を務める森下潤一さんは「現在2200通ほど集まっているお客さまからの思い出メッセージを読んでいる中で、『ありがとう』という言葉が多かった。皆さんに愛され成長してきたのを感じている」とし「開業当初を知っている方、ちょっと足が遠のいていた方などにも懐かしんでいただけたら」と来場を呼び掛ける。
営業時間は10時~20時。入場無料。3月22日まで。