恵比寿駅東口エリアに8月18日、「スバル」ブランドの自動車や航空機の製造などを手掛ける富士重工業の本社が移転する。
1953(昭和28)年に創業し、現在の本社所在地・新宿スバルビル(新宿区)の前身となる東富士ビルに本社を置いた同社。5社を吸収合併し本格始動した1955(昭和30)年に丸の内に移転するも、1966(昭和41)年には東富士ビル解体後に建てた新宿スバルビルに再び移転し営業を続けてきた。2010年には同ビルを小田急電鉄へ340億円で売却し、翌2011年4月に引き渡し。以降賃貸として入居してきた。
移転先となる恵比寿の同所は、かねてスバル車の特約店だった伊藤忠自動車が本社とボーリング場を併設した恵比寿ビルを建設。以降、特約店や関連会社が入居していたほか、販売店「東京スバル恵比寿店」も出店するなど同社とは「ゆかりの深い場所」という。2012年に同ビルを取り壊し、エビススバルビルを新築した。総務部や経営企画部、スバル国内営業本部などの本社機能を移し、関連会社の社員を含め650人が通勤する。
敷地面積は約3939平方メートル(建築面積は約2323平方メートル)。階層は地下2階~12階の14フロアで最後部の高さは59.90メートル。延べ床面積は2万5千296.59平方メートル。基本設計・監理は日建設計が、施工は大成建設が担当。ビルは「疾走感・躍動感」をモチーフにしたデザインでまとめた。ファサードはガラスとリブパネルによるボーダーデザインに仕上げ、ホワイエやイベントホール、受け付けなど各フロアの天井・壁面には水平方向のイメージをあしらう。震度7の地震にも耐える免震システムや3日間稼働するバックアップ電源を設備するほか、テラス屋根に取り付けた太陽光パネルで発電した電気を社内で利用するなど環境にも配慮する。
天井から星座をモチーフにアーティスト笹口数さんが制作した立体作品をつるす1階エントランスホールから続く空間には、情報発信機能となるショールームを開設(今月25日~)。面積は574平方メートル、天井高は約7.5メートル。屋外3台、屋内10台を展示可能で、市販車や限定車、モータースポーツ参戦車など幅広く展示予定。同所ではモータースポーツのパブリックビューイングやトークショーなどのイベントも行っていくという。同フロアには「東京スバル恵比寿店」とタリーズコーヒーが出店。地下1階には東京スバルの整備工場も備える。
3階は貸しイベントホール「EBiS303」。奥行き19メートル・天井高6メートル、約740平方メートルの無柱空間が特徴。間仕切りを開放することでホワイトもいったい利用が可能で、最大1200人を収容できる。5階はカンファレンススペースで、約38平方メートル~約280平方メートルの5室(収容人数24人~216人)を用意する。いずれも10月オープン予定。同階一部と6階は賃貸オフィスとなっている。
同社が入居するのは7階~12階。7階は来客に対応する受け付けと会議室フロアで、ホワイトボード仕様の壁面やTV会議対応可能な設備を備える会議室16部屋(6人~100人)を用意。8階~11階の執務フロアは各階1340平方メートル。役員フロアを除き各フロア200人ほどの席を設ける。北と南の壁面を天井から床まで全面ガラス張りのフロアは社員同士のコミュニケーション促進を重要視し、柱の少ない「ひらけた空間」になっている。セキュリティーカードなしでフロア間を移動できるよう内階段で各階をつないだほか、踊り場付近には「アクティブコミュニケーションハブ」を設置。TV会議可能な打ち合わせスペースやホワイトボード仕様の壁面、複合機、リフレッシュスペースなどを集約した。
最上階12階は社員食堂「SKYTERIA」。木目や緑を多用したフロア内にはテラス席含め約300席を用意。店内で焼くパンや1グラム1.3円のグラムデリなど新メニューを投入するほか、毎週水曜日のノー残業デーはバー営業(20時まで)もする。ランチミーティング利用時は、食堂で注文した料理を隣接した会議室に持ち込めるという。
今月6日には新社屋で竣工(しゅんこう)式を実施。同社吉永泰之社長は「自分の会社に立っているような気がしない」と笑いを誘い「(渋谷区の)仲間に入れていただき、地域の一員として末永くお付き合いいただければ。皆さまの期待に応えられるよう頑張っていきたい」と意欲を見せた。その後、桑原敏武渋谷区長らも参加しテープカットを行った。