国立競技場(正式名称=国立霞ヶ丘競技場・陸上競技場)が5月31日、56年の歴史に幕を閉じた。同日、「SAYONARA国立競技場FINAL“FOR THE FUTURE”」と題したイベントが開かれ、3万6116人が別れを惜しんだ。
1964(昭和39)年の東京五輪招致に向け1958(昭和33)年に建設された同競技場。2020年の五輪・パラリンピックのメーンスタジアムなどに活用するため新国立競技場の建設が決まっている。
午前中には事前に公募した2020人が競技場内をランニング。瀬古利彦さん、有森裕子さん、宗茂さん・猛さんが「レジェンドランナー」としてゲスト参加した。午後には、元日本代表選手らによるサッカーとラグビーの「レジェンドマッチ」が行われた。
サッカー・ラグビーのインターバルショーとして、東京五輪開会式で空に五輪のマークを描いたブルーインパルスが国立競技場上空に飛来。6機で三角形を作る「デルタ」、先頭1機の後ろに5機が横一直線で飛行する「リーダース・ベネフィット」などの展示飛行を披露し来場者を沸かせた。
ファイナルセレモニーでは、歴代の五輪金メダリストら23人による聖火リレーを実施。アテネ・北京・ロンドン五輪女子レスリング金メダリスト吉田沙保里さんが最終ランナーを務め、聖火台に点火した。
ピアニスト辻井伸行さんは「東京オリンピックファンファーレ」などを演奏したほか、歌手の谷村新司さんは「昴」を、森山良子さんは「今日の日はさようなら」を歌い上げた。「君が代」独唱は海上自衛隊東京音楽隊3等海曹の三宅由佳莉さんが務めた。
その後、「蛍の光」合唱に続き会場が暗転。これまでの同競技場の56年間を振り返る映像が上映され、「ここにあった、今日、国立競技場は、その幕を閉じる。すべてのアスリートと、すべてのアスリートが生み出した奇跡に、感謝を込めて、THANK YOU」のメッセージの後、聖火が消灯。サーチライトや花火700発、レーザーを使った会場演出が行われ、セレモニーは幕を閉じた。
セレモニー終了後には観客にピッチが開放され、芝生の上に寝転がったり、トラックのスタートラインでポーズを取ったり、記念撮影したりするなど、思い思いに最後の記憶を刻んでいた。
現国立競技場は7月から2015年10月にかけて解体され、10月から新しい国立競技場の建設工事が始まる。